私は、秋になると『里の秋』をよく歌います。
高校生の時の修学旅行、草津白根山をバスで走っていたときにバスガイドさんが歌ってくださり、白根山の紅葉と『里の秋』のメロディと歌詞がマッチして、素敵な思い出になりました。
そして私は、その後しばらく、『里の秋』は日本の美しい秋を歌った歌だと思っていました。
ところが真実は全く違いました。
♪
しずかなしずかな 里の秋
おせどに木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんと ただ二人
栗の実にてます いろりばた
あかるいあかるい 星の空
なきなきよがもの 渡る夜は
ああ とうさんの あのえがお
栗の実たべては おもいだす
さよならさよなら 椰子の島
お舟にゆられて かえられる
ああ とうさんよ ご無事でと
今夜もかあさんと 祈ります
♪
これが1番から3番までの歌詞です。
1番は確かに、日本の里の秋の美しさを歌っているようにも思えます。
が、2番からあやしくなってきます。
おとうさんは、この歌を歌っている子供の家にはいないのです。
そういえば、1番の歌詞にも「ああ かあさんと ただ二人」となっています。
お父さんは?
その答えは3番で分かります。
「椰子の島」という歌詞がありますが、お父さんは「椰子の島」に行っていたのです。
もちろん、今のようにリゾートで行っていたわけではありません。
戦争に行っていたのです。
『里の秋』は作詞は斎藤信夫、作曲は海沼實。この歌が最初に発表されたのは、ラジオ番組「外地引揚同胞激励の午后」。引揚援護局のあいさつの後、童謡歌手の川田正子の新曲として全国に向けて放送されたそうです。
放送直後から反響を呼び、次の年に始まったラジオ番組「復員だより」の曲として使われたのです。
「復員だより」というのは、戦地からの引き揚げ者の名前を読み上げる番組です。
家族の人たちが、戦地から帰ってくる人たちの名前の中で、お父さんが呼ばれるかどうか、必死の思いで耳を傾けた、ということです。アナウンサーの読み上げる名前に、自分のお父さんの、家族の名前を聴いたときの気持ちはいかほどのものだったでしょうか。また、今日もお父さんの名前を聞くことができなかった家族の思いは……。
『里の秋』には、そのような思いが込められた歌なのです。
私は、このブログで政治的な発言をするつもりはいっさいないのですが、戦争を二度とやってはいけないし、参加してもいけない。そのことは強く思っています。
『里の秋』。この歌詞に登場した家族のうちに、お父さんは無事、帰ってくることができたのでしょうか。
世界の人々が、少しでも平和に近づけることができるよう、祈り、行動したいと強く思います。
ベスト・オブ・ベスト/日本の名歌
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とてもよいう?ん・・・
日本の名歌 次世代へ歌い継ぐもの